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第2話 ログネスト

Penulis: 雨音休
last update Tanggal publikasi: 2026-04-10 14:30:04

 ログネストの玄関は広い空間になっている。背の高い天井。タイル敷きの綺麗な床。

 しかし、空気は息苦しいほど重かった。

 今も、通路からドリンクを汲みに来た利用客がある。ちらりと振り返ると、寝ていないような疲れた顔をしていた。

 ふと隣には男性店員に連れられた太り気味の客がやってきた。太り気味の客は男性店員に頭を下げて大声を出す。

「待ってください! あと五時間、五時間プレイできれば、ヴァルを払えそうなんです!」

「お客様、すでに退室の時間でございます」

(……ヴァル?)

 背中に鳥肌が立つのを感じながらユウマはカウンターに向き直る。

 茶色い受付台を挟んで、ユウマの前には女性店員が立っていた。彼女は笑顔で語り出す。

「お客様、ゲームVALORIUMは初めてですか?」

「ゲーム?」

「はい。ログネストではゲーム内通貨、ヴァルでのお支払いもできます」

「あ、はあ」

「始める時は会員カードを機器に差し込んでからプレイをしてください。それと」

 女性店員がまた微笑む。棚の下から折りたたまれた小さな紙を取り出した。それをカウンターの上へと静かに置く。

「今、キャンペーンをやっております。こちらの特別コードをゲーム開始時に設定すれば、良いことがございますよ」

「良いこと?」

 ユウマはその紙を受け取る。開くと英文字が記載されていた。

「はい。是非是非、設定してプレイしてみてくださいね」

「あ、はい」

 両手を腹に組んで頭を下げる女性店員。

 コーヒーのコップと紙を持って、ユウマは受け付けを離れようとした。

 隣では太り気味の客が男性店員にいまだに泣きついている。

「待ってください! お願いです! 俺はやっと20レベルに上がったんです」

「お客様、退室をお願いいたします。それ以上揉めるなら、警察を呼びますよ」

 ユウマはいぶかしげな視線で眺めた。

(可哀想だけれど、金が無ければルームを利用できないよな) 

 太り気味の客は店からしぶしぶ出て行った。

 気の毒に思いつつユウマは自分のルームへと帰る。

 黒いマットの部屋にはVR機器が備わっている。デスクトップの横にはデカデカとした説明書があった。コーヒーを口に含みつつ、試しに読んでみる。

 モンスターは金を落とさない。

 ――代わりに、評価で金が出る。

 ゲーム内通貨ヴァルは、1ヴァルにつき0.2円の価値のようだ。

 ……怪しい。

 さっきの客たちは、みんなこのゲームをやっているのだろうか?

(金になるなら、やる)

 ユウマはもう一度ルームを出てカウンターへと行った。ルームの利用延長を申し込む。12時間2000円。相場で言えば安い方だ。

 部屋へと戻り、VR機器を作動した。差し込み口に会員カードを挿入する。そして先ほど女性店員からもらった特別コードの英文字を暗記し、デバイスゴーグルを顔にかけた。

 マットに横になり、ゴーグルのスタートボタンを押す。

 意識が、青に沈んだ。ゲーム内に吸い込まれる。

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輪廻
ゲーム内でゲームオーバーになったら、現実でも死ぬみたいな制約あったりしない……?
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